ハース アリーナ 闘技場専用カードの考察と評価
今回は前回の記事の続きであり、パッチ10.4において追加される闘技場専用カードの考察と評価に関する記事です。
<ドルイド> 状況に左右はされるが、比較的強力でパワーがある
ミニオンを手札に戻すというテンポロスと引き換えに、3マナで+5/+5という破格のバフを可能にするドルイドクラスのスペルです。このカードの特性上、効率的に使用する場面はいくつかあります。
1.序盤に使う事で相手に処理を強要する
後攻1ターン目や先行2ターン目に出したミニオンに使う事で、早いターンから大型ミニオンを押し付けていく事が可能となり、ダメージレースの面で優位に立つ事ができます。「蟲のドルイド」ならば6/10/挑発のミニオンを4ターン目にヒロパと同時に、「魔法のワタリガラス」ならばコインを使う事で3ターン目に7/7ミニオンをプレイする事が可能となります。序盤でこれらのミニオンを超えていく事は、非常に困難です。
2.中盤で一方的にトレードされそうな低マナミニオンを戻す事でアドバンテージを守る
5,6ターン目といった中盤において、相手にトレードされてしまいそうな低マナミニオンがいる場合、それを戻し再プレイする事でアドバンテージを失う事を避けられます。役目を終えた後は簡単にトレードされてしまいがちな「フォールン・サンの聖職者」を5ターン目で戻し即座にプレイする事で、再び雄叫び効果を発揮させつつ7/6ミニオンをプレイする事が可能です。
また、他のミニオンを守る事で体力が削られた「ストーンヒルの守護者」を戻す事で、雄叫び効果により再び手札を増強しつつ6/9/挑発という強力なミニオンを6ターン目に出すことも可能です。
3.終盤、ミニオンを戻す事でバリューを増やす
リソース勝負となる事も多い終盤では、強力な雄叫びを持つミニオンを戻す事でバリューを得ることも視野に入ってくるでしょう。特に、「暗黒街の大物」や「菌術師」といったミニオンは雄叫びが強力である事に加え、自身のスタッツが低いため手札に戻しても盤面が弱くなりにくいという面も併せ持ちます。もちろん、前述の「ストーンヒルの守護者」のように、雄叫びで発見効果を持つミニオンを戻すことも非常に有効です。
また、ミニオンを手札に戻す効果を持つ事から「強力な雄叫び」、「デメリットとなる断末魔」を持つミニオンとの相性は非常に良いです。「爆弾部隊」や、敵ミニオンを破壊した「堀に潜むもの」はその最たる例と言えるでしょう。
手札でのバフをする事から、自身のコピーを召喚するミニオンとの相性も抜群です。「サロナイト鉱山の奴隷」ならば4マナで7/8挑発ミニオン2体、「ドッペルギャングスター」ならば5マナで7/7/ミニオン3体と、莫大なアドバンテージを獲得できます。
序盤から終盤まで上手く使えれば大きなアドバンテージを稼いでくれるこのスペルですが、ただ漫然と使用するだけではテンポ・ハンド共にロスしてしまう事を考慮する事も重要です。
ピック優先度は高いと考えますが、他のカードとの兼ね合いが重要なカードという事を意識する事が大切です。
<ハンター> 大きなリソースを生み出しうるが、使いこなすためには理解が必要
対戦相手の顔にしか打てなかったハンターのヒロパを、ミニオンも対象にできるように強化するスペルです。
このカードをプレイした瞬間は何も生み出さないので、手札1枚と2マナを犠牲にする必要はありますが、手札を消費せず永続的に2点ダメージを出せるという事は強力です。似た効果を持つ「影なる姿」が3マナである事からも、比較的マナ効率は良いであろうと言えます。
しかし、このカードはいくつかの問題点を抱えています。
まず、複数枚引いた瞬間どちらかは腐ってしまう事です。このカードは「影なる姿」と異なり、複数枚使用しても強化される事はありません。そのため、複数枚ピックする事はほとんどありえないでしょう。
また、使用するタイミングも難しいです。序盤にプレイできれば必然的にリソース差をつける事ができますが、序盤の盤面は弱くなります。そのまま押し切られてしまっては無意味なので、除去スペルや回復手段が欲しくなる場面もあるでしょう。しかし、ハンターはそういった事が得意なクラスではありません。また、複数枚ピックしにくい特徴から、序盤に引ける確率も低いでしょう。
後半にプレイすれば盤面を取られる心配も少ないですが、リソース差をそこまでつけられないかもしれませんし、そもそも顔を詰めれば勝てる段階になっているかもしれません。その場合、このカードのメリットである盤面支配能力が薄れてしまいます。
「恐竜術」と併用する事が出来ない事も頭に入れておきたいところです。
書いてあることは強力ですが、うまく活用するにはピックでの意識や使用タイミングなど様々な事に気を払う必要性があるため、中々難しいカードと言えるでしょう。
このカードを複数枚取る行為は、上記で述べたような性質からよくよく考えることが不可欠です。
<メイジ> ランダム性が高いため、弱い時は弱く強い時は非常に強い
ミニオン1体を対象にし、ランダムに発見したミニオンへ変身させるスペルです。
このカードは、5マナという重さに加え効果が不安定であるという点がネックとなります。
5マナと比較的重い事は、「ワタリガラスの使い魔」や「ドラゴンコーラー・アランナ」など他のカードとの兼ね合いで良い方向に働くこともあり得ます。
しかし多くの場合において、高コストであるという事は柔軟な動きをする際にネックとなります。加えて、除去目的で使うならば1マナ低く効果も安定している「動物変身」の方が有用です。
つまり、あえてこのカードを使うならば自陣のミニオンを強化させる目的で使う事も視野に入れる必要があります。しかし、総じて高コストミニオンよりも低コストミニオンの方が数が多いので、大きな強化を期待する事も安定できません。
とはいえ、「おしゃべりな本」といった手札を増強できる低マナミニオンもメイジクラスには存在するため、強化目的で使うならば最適な対象となります。
また、「ガラガラガイコツ」といった強烈なデメリットを持つミニオンを変身させる事で、断末魔のデメリットを踏み倒すと同時に強力なミニオンへ変身させる事も可能となり上手くいけば非常に強力なコンボと言えるでしょう。
積極的にとる必要性はありませんが、シナジーがあるミニオンを既にピックしている場合や、ランダム性による面白さや一発逆転を好む方は一考の余地があるかもしれません。
<パラディン> ハマれば最強クラスの秘策だが、使いこなす事は難しく安定しない
条件が厳しくなった代わりにリターンが大きくなった「救済」とも呼べるパラディンの新しい秘策です。
パラディンには戦闘に関する多くの秘策が存在しているため、この秘策の追加により一層秘策ケアが複雑になったとも言えます。
特に、「身代わり」と同時に貼っておくと中々意表を付けて面白いかもしれません。
とはいえ、条件がきつい秘策は発動するまでのタイムロスが痛い事も多く、優先して取りたい秘策とは言えません。ワイルドとは異なり、秘策に関連する優秀なミニオンも多くない(ほとんどいない)事から、他の秘策と同じく優先度は低くならざるを得ないと考えます。もちろん、適した状況で発動できれば最強のマナ効率を持つ秘策でしょう。
<プリースト> 対コントロールには強力、自分のデッキの重さとの兼ね合いが重要
自陣のミニオン1体を相手に渡す事というデメリットにより、2マナで3枚ドローという破格の手札増強が可能となるスペルです。
上手く小型ミニオンを渡せれば手札アドバンテージを大きく獲得でき、バリュー勝負にはまず負けないでしょう。
しかし、そもそもプリーストはコントロールに強いクラスであり、リソースに関してもそこまで苦労しないクラスであるために、条件付きのドローソースを求める必要性も薄いと言えます。(加えて、小型ミニオンを出す事が得意でもないため条件が厳しい)
しかし、考えようによっては相乗効果により大きな効果を生み出す事も可能です。
まず、デメリット効果を持つミニオンを渡す事が考えられます。この記事でも既に例に挙げていますが、「ガラガラガイコツ」や「爆弾部隊」がその好例です。
また、「ドラゴンファイア・ポーション」を始めとするAOEを多く持つクラスであるため、相手にミニオンを渡すデメリットを小さくすることも難しくありません。
また、プリーストは相手ミニオンを拝借する事も得意分野なので、そこを活かしてデメリットを軽減する事も可能です。「狂気ポーション」で借りたミニオンをこのスペルによって返す事や、「カバルの影の僧侶」の効果の対象となるミニオンが相手陣地に存在しない場合に、自陣のミニオンをこのスペルでプレゼントしてから僧侶で取り返す等が考えられます。
単に小さいミニオンを生贄にしても十分強く、上手く決まればデメリットなしで3枚ドローもありうるこのカードは、対コントロールに大きな役割を果たしそうです。
とはいえ、上記のようにもともとプリーストはコントロールに強いので、自分のデッキと相談してピックするかを考慮する事が重要と考えます。
<ローグ> 状況を選ばず使えて効果も強いが、取り過ぎだけには注意
1マナ使う事で、手札消費なくミニオンに隠れ身を付与できるスペルです。
コンボという特色を持つローグにおいては、手札を減らさずコンボを起動できるこのスペルは非常に有用です。コンボは、起動条件がある代わりにマナ効率が非常に良い事が特徴です。そのため、このカードの存在により安定してコンボを発動できるようになります。
また、隠れ身を付与するという効果も十分有用です。単に味方ミニオンを相手のスペルや武器から守れるだけでなく、「呪われた門弟」のような頭でっかちで低マナミニオンにトレードされうる危険性を持つ場合であっても、隠れ身を付与する事により一方的に不利なトレードを避ける事ができます。
加えて、「クエスト中の冒険者」や「カルトの教祖」といった強力な効果を持つが故に相手から狙われがちなミニオンに隠れ身を付与する事で、大きなアドバンテージを得る事も可能です。
また、相手ミニオンに隠れ身を付与する事も可能です。つまり、1ターン限定ですが相手の挑発ミニオンを無視できる手段でもあると言えます。
ローグクラスの特色と非常にマッチしており、非常に強力なスペルと言えます。しかし、このカード単体では大きな役割を持てない事を忘れてはいけません。このカードばかりを取りすぎて、ミニオンを使ってまともに動けないという事態に陥らないよう注意が必要です。
<シャーマン> 中途半端では機能しないため、取るならば一貫したピック姿勢が重要
次のターンは全く動けないほど重いオーバーロードを背負う事を代償に、0マナで強烈な盤面リセットを可能にするスペルです。
シャーマンは「メイルシュトロームのポータル」や「ライトニングストーム」といった強力なAOEを使用でき、比較的コントロールする事が得意なクラスと言えます。0マナで強烈に盤面をクリアできるこのスペルを獲得した事により、一層盤面をコントロールできるようになったと言えます。
このスペル自体は0マナなので、盤面クリア→ミニオン展開という流れで盤面を支配できます。次のターンはカードを全くプレイできませんが、自陣のミニオンは動けるので有利トレードを仕掛けアドバンテージを拡大させる事が主目的となるでしょう。
このカードの最大の弱点である「オーバーロード10」への対処はいくつかあります。
まず、「永劫の監視者」によってすべて踏み倒す事が挙げられます。
これが理想ですが、ピンポイントでこれらのカードを揃える事は中々難しいでしょう。
なので、他のオーバーロードを持つカードも同じターンに使い、結果的にある程度を踏み倒す事も十分有効です。例えば、「破滅の業火」を使用した同じターンに「アース・エレメンタル」をプレイすれば、結果的に3マナ分踏み倒したことになります。
また、オーバーロードシナジーを持つカードも次のターン動けない事によって起こる隙を埋めてくれます。「豪雪の巨人」がその最たる例でしょう。
自陣の盤面のクリアに対する対策も考える必要があります。
まず、強力な断末魔やディバシを持つミニオンならば盤面クリアに対して強いため、こちらも同様に次のターン動けない隙を埋めてくれます。
また、武器をあらかじめ握っておけばカードをプレイできないターンであっても打点をある程度出せるので有効です。
0マナで盤面をクリアできるという派手な効果を持つ一面と、次のターンは基本的に全くカードをプレイできないという強烈なデメリットを併せ持つこのカード。実際に使用してみないと評価は難しいと感じます。
シャーマンならば盤面処理とコントロールを重視するという傾向は揺るがなさそうです。
<ウォーロック> 強いとは言えないが、解決札を探す事が可能なユニークなスペル
自分の手札全てをランダムな悪魔に変えるこのスペル。ウォーロックはヒロパの存在もあり手札が切れにくいという事に加え、悪魔には「ドゥームガード」や「奈落の始末屋」といった強力なミニオンが存在している事から、意外と解決札を持ってこれる可能性は高いと考えます。
勿論、悪魔はランダムである事に加え、このカード単体では何も仕事をしない事も考慮すれば無条件でピック出来るとは言えません。また、低マナの悪魔が多い事も考慮すると手札のバリューが下がる事も十分あり得ますし、そもそも手札枚数が少なければうまく働きません。
しかし、最後の一押しや防御のための解決札を探す時に意外と役立ってくれるのではないかと個人的に期待しているカードでもあります。
<ウォリアー> 分かりやすく強力な武器であり、マストピックとさえ言える
攻撃したミニオンだけでなく、それに隣接するミニオンにもダメージを与えられる武器です。3/2/3とコスト相応のスペックを持ちつつも、非常に強力で有用な効果を持つこの武器は、分かりやすく強いと考えます。アリーナにおいて常に苦戦していたウォリアークラスへの救済の意味もあるでしょう。
雑な比較をすれば、3回「剛力の一矢」を打てるようなものですから、武器である事を考慮しても非常にマナ効率が良いと言えます。
また、ウォリアーは武器シナジーを持つカードを多く扱える事も、このカードの強さを引き立てています。特に、「アップグレード!」や「性悪な鍛冶屋」といった武器の攻撃力を上昇させるカードとの相性は凄まじく良いです。
また、純粋に武器の数が増えピックしやすくなった事により、「ミスリルの呪文石」がアップグレードしやすくなった事も大きいでしょう。
アリーナにおいては常に苦戦を強いられていたウォリアーですが、非常に強力な武器が追加された事によりヒーロー選択の候補となるかもしれません。
今回は、パッチ10.4において追加される闘技場専用カードの考察と評価についてでした。前回の記事と合わせて、パッチ10.4での変更点や考察について詳細に記述したので分からない事があれば是非参考にしていただければ幸いです。
次回はパッチ10.4以降の闘技場について、実際にプレイしてみての記事になると思います。